人口と日本経済 – 長寿、イノベーション、経済成長


 

人口と日本経済 – 長寿、イノベーション、経済成長 (中公新書)

多数派の意見(「少子高齢化で日本の経済は衰退する」)に合点がいかない少数派は、流行りの本を読むのではなく、このような基本を説く骨太の本に帰って自説を再構築すべきだ、ということを改めて確認しました。

この本が説いているのは次のことです。

  • 「人口が減少すると経済が衰退する」という議論は、今に始まったことではない。人口減少が始まった19世紀末のフランス、イギリスでも大いに議論された。そもそも、ケインズの総需要増大策は、これらの議論に対抗するものとして考えられた
  • あらゆる統計が、どのような商品・産業もロジスティクス曲線(S字カーブ)に従うことを示している → 同じことを続けているといつかは衰退する。その状況から脱出するには、イノベーションが必要
  • 経済の成長と人口の伸びには相関がない(日本の高度成長をデータで見ると、人口の伸びよりは圧倒的に高いGDPの伸びが示されている。この乖離の原因はイノベーション(集団就職の発明により、生産性の低い一次産業から生産性の高い二次産業に大量に人口が移動したことを含む)でしか説明できない)
  • よって、一国の生活が豊かになるかどうかは、イノベーションによる一人当たりGDPの伸びに依存する
  • どんどん高齢化する日本の社会でのイノベーションの機会は、「健康寿命の伸長」にある(人間の平均寿命は、生物に関する理論では説明できないほど長くなっているので、この伸長に対する投資はそもそも引き合わない)

特に、最後の点には同意です。これ以上平均寿命を伸ばすことには興味が持てませんが、健康寿命を伸ばすことに溜め込んだお金をためらうことなく払う高齢者は(自分も含めて)非常に多いでしょう。