ソリューションの事後的な提案はできても、その先行的構築が難しいのは?


お客様の要望は聞けても、そのソリューションの横展開ができないのは?

「あるお客様に対して役に立つソリューションを提供できた。それを横展開したいが、説明パンフレットがうまく作れない。」そんな経験はありませんか?

お客様の要望を聞いてソリューションを「事後的」に構築することはできても、その経験を生かして、他のお客様にも適用できるソリューションを「先行的」に構築することができないのです。

すごく勿体ないことですよね?それができれば、「そんなことができるのか!」とお客様を驚かせ尊敬されるインサイトを提供する絶好の機会を逃すのですから。

なぜ、そうなってしまうのでしょうか?

それは「お客様の立場に立って考える」ということの意味が本当には分かっていないからです。ソリューションが受け入れられた理由が理解できていないのです。

では、「お客様の立場に立って考える」とは、何を意味するのでしょうか?

「ソリューション」という名の「モノ売り」をしていませんか? で述べたように、お客様が商品やサービスを購入するのは自分の問題を解決するためです。

ですから、「お客様の立場に立って考える」とは、「お客様が問題解決をしようとすると何が障害になるのか、そのどの部分に自分たちは貢献できるのか、を考える」ことを意味します。

すなわち、次の2つが Right Question となります。

  1. お客様の問題解決上の心配事はどこでどのように発生しているのだろうか? それらはどうすれば解消できるだろうか?
  2. お客様は何故その心配事を自分で解消できないのだろうか? 何が障害なのだろうか?

2 については、前回の ソリューション営業における顧客動線設計の優れた事例: ”オークマ工塗” で「買い手の持つ3つのレベルのニーズ」を理解した提案をすべきことを説明しましたので、今日は1 について考えてみましょう。

お客様の心配事の発生箇所を知るための消費チェーン分析

1 について考えるのは難しそうに見えますが、そんなことはありません。

素直に、お客様が購入する商品・サービスの必要性に気づいてから、それを購入・使用し、最後に廃棄するまでの問題解決のライフサイクルを追いかけて考えればよいのです。

そして、その作業を簡単にするためにのために、次の図に示す消費チェーンと言うフレームワークが使える(必要なら修正を加えれば良い)ことを知っていれば良いのです。(このフレームワークの説明は、アントレプレナーの戦略思考技術 | リタ・マグレイス/イアン・マクミラン 著 | ダイヤモンド社  参照、何故かこの本Amazonで検索できませんが。。。)

消費チェーン

通常、ソリューション提案をする際には「使用」フェーズでの機能の優劣に着目しがちですが、お客様は図の様々なフェーズで悩みを抱えており、その解消策を求めているのです。

それぞれのフェーズでの悩み事に配慮することこそが「お客様の立場に立つ」ということなのです。

(実際には、この各フェーズで心配事を解消するためのお客様業務プロセスが存在し、それを理解することが理想なのですが、その話は後日に回します。)

消費チェーン分析を活用した集客事例:オークマ工塗のホームページ

前回で紹介したオークマ工塗は、この視点から見ても非常に優れた対応をしています。たとえば、オークマ工塗が挙げた「塗装問題解決のご提案」は次のようにいろいろなフェーズでお客様の困りごとを解消するものとなっています。

探索フェーズ: 顧客がニーズを満たす解決策を探す手助けをする

  • 工場塗装の発想の枠を超えて色彩・質感アドのデザイン性、塗料・塗装方法・品質等の技術情報、印刷・転写等の塗装技術以外の加工方法等を合わせた総合的な提案をする
  • 現在の塗装技術・塗料では要求事項を満たさない案件での共同開発を行う
  • 見積条件に焼き付け塗装が指定されている案件の技術的可能性を検討する

選択フェーズ: 顧客が様々な製品・サービス群から一つを選択する手助けをする

  • 色目でなく塗装でデザイン(風味、質感等)を求めていて発想・イメージが言葉で説明できないお客様にソフトタッチ、古風、木目等の様々な見本を用意し、それらを使って要件を表現する手伝いをする
  • 塗装方法、塗料等の変更で製品のライフサイクル全体での塗装コストを低減する

配送フェーズ: 売り手から買い手へ製品・サービスを移管する

  • 1日で塗装が完了するシステムを用意する
  • もともと手吹塗装を主体にやっていた強みを生かし、小ロットでも後回しにしない対応をする

受領フェーズ: 買い手が製品・サービスを受け取る

  • 外部コンサルタントの指導によるほこり・ごみの見える化技術の導入、クリーンルームの設置等により納品時の不良率を大幅に低減する

使用フェーズ: 買い手が製品・サービスを使用して自分の問題を解決する

  • 塗料メーカーと協同で新塗料を開発すること等により、塗装の本来の目的である付加価値(キズがつかなくする、手触り感を良くする、薬品で拭くことを可能にする、面上でモノが滑るようにする、等)を徹底追及する

このように、「塗装」という一言で語られがちな世界でも、お客様の問題解決ライフサイクルにそって考えれば、様々な悩みがあり、それを解決するビジネス・チャンスが転がっていることが分かります。

結論

「お客様の立場に立って考える」という言葉の意味が本当に分かってさえいれば、ソリューション提案は決して難しくないはずなのです。