クライアントからの信頼獲得法の成長ステップの全体システム(顧問契約へのステップ) 


Last Updated on 2021年10月25日 by 時代遅れコンサルタント

さて、前回まででプロフェッショナル・アドバイザーとして身を立てようとする人が、市場で注目と信頼を獲得することによりビジネスを得る方法の各論について解説し終わりましたので、今回はそれをまとめた全体図を描くことにします。

これまでの議論をまとめると、以下のようになります。

  • 少子高齢化で年金問題などがある中で、人生100年時代を心穏やかに恙無く過ごそうと思うのなら、生計の手段はストック型からフロー型に移行した方が良い。フロー型の方が、人間関係のネットワークも維持更新できる点も大きい。
  • プロフェッショナルとしてフロー型で高齢になっても働き続けようとすると、いくつかの重要な点でアンラーニングする必要がある。
  • 最初にアンラーニングすべきは、リンダ・グラットンが「ライフ。シフト」の中で述べた、人生100年時代に重要な3つの無形資産「生産性資産、活力資産、変身資産」での力点の置き方である。活力資産への投資はこれまで通り重要であるが、プロフェッショナルは従来生産性資産への投資の多大な労力を注いできた人が殆どである。今後は、この投資を変身資産に振り向けるべきである。そうしないと、長年キャリアを磨いてきた会社などから外に飛び出せず、定年で職業人生が終わることになる
  • 変身資産を充実させるときに参考になるのが、ジョン・ガードナーの「自己変革」である。そこには、自己変革スキルには、4つの要素「変革の準備、計画性、資源の活用、意図的行動」が必要であるとされている。本論では、プロフェッショナル・アドバイザーに参考となる計画性(自分を変えるための実現可能な計画の立て方)を議論する
  • 計画を立てるために最初に必要なことは、(独立を含めた)提供プロフェッショナル・キャリアとそれを求める求人者とをマッチングさせる市場の構造とそこで求められる要件を理解することである。そこからわかることは、余程のハイスペック・エリートでない限り、会社を離れて仕事を求めようとするならば、取り得る手段はバイサイドの転職エージェントに応募するか、市場で直接求職するかの2つである。これ以後の議論では、より要件が明確かつ厳しい市場での求職に焦点を当てて議論することにする。(転職エージェントへの応募は、その簡易形と考えれば良い。)
  • 市場で仕事を得ようとした場合、そのままでは顧客数は膨大となり、そのままで仕事見つけようとすることには無理がある。したがって、顧客層を絞る(ターゲット市場を決める)ことが不可欠となる。モントヤ、「パーソナル・ブランディング」が言うように、そこでは「認知が能力より重要」だと言うことを肝に銘じ、これまでの発想を180度転換した顧客中心主義になる必要がある。
  • 市場での取引相手は、通常は見ず知らずの全くの他人である。この冷厳な事実に多くの人が怯み、定年後引退してしまう。この障害を突破するところでも、アンラーニングが必要である。ここで必要なアンラーニングとは、安心社会から信頼社会への移行である。日本はお互いの信頼度が高い信頼社会だと思われているが、実は村八分などの制裁で社会的逸脱を防ぎ、そのことにより相手に裏切られることがないと想定する安心社会である。安心社会の問題は、価値観を共有する集団の中でしか安心できないことで、この集団のサイズに限度があることが、経済的なハンディキャップになる。価値観を共有しない者同士の間で経済的な契約関係を保証するために、法体系や裁判制度などを整備するのが信頼社会である。ただし、商取引に際し毎回法制度に依存して信頼を担保しているとコストが高くつくので、万一の時は裏に控えている法制度に頼ると言う前提で、取引相手の信頼度を見極める能力を磨くことが、実用上得策となる。
  • 上記のことから、市場社会で独立をしてビジネスを始めようとするなら、ターゲット顧客から信頼を獲得する方法を考えることが第一に必要である。多くの人は、先に自分の商品・サービスを磨こうとするが、これは順番が逆である。そもそも契約が得られないのに、商品・サービスを持っていても何の価値もないと心得るべきである。
  • 市場でのもう一つの注意点は、参加者は膨大な情報に晒されているということである。余程の工夫をしないと、そもそも自分の存在が潜在顧客の目には止まらないことを認識する必要がある。すなわち、市場で生き抜くためには、注目を集め、信頼を獲得することが最重要である。
  • ここからの議論は、コンサルタントや法律家などのようにクライアントに専門的なアドバイスをする仕事するプロフェッショナル・アドバイザーを対象とする。
  • まず、注目を集めるためには、ターゲット顧客の目につく立ち位置(ポジション)を決める。
  • プロフェッショナル・アドバイザーは、クライアントの問題の解決支援者である。ということは、問題の理解、問題が解決されていない原因の究明、その原因を潰し問題を解決する策の提示ができなければならない。その定義に沿って注目を集めためには、注目トリガーの使い方を心得れば良いことを理解する。すなわち、フレーミング(潜在顧客の問題を心得ていることを納得させる)、破壊(物事の見方が間違っているので、問題が解けないことを理解させ、問題解決のためには新しい視点に立つべきことを納得させる)、報酬(私い視点での問題解決方を見せる)の三段構造の売り込みストーリーが有効であることを理解する
  • さらに信頼構築の理論を勉強し、付き合いの薄い人か信頼される有力手段が価値観の共有であることを理解し、破壊トリガーのところで古い世界観を壊し新しい世界観を共有することで信頼獲得ができることを確認する。
  • 実は、以上の注目と信頼を獲得しながら効果的なセールスに繋げる方法は、「チャレンジャー・セールス・モデル」という本に出ているインサイトを利用したマーケティング方法と同等のものである。そこに書かれている、クライアントの心を揺さぶりながら営業する方法を参考にして、インサイト・マーケティングの方法を確立すれば良い。
  • 以上の枠組みができたら、それを継続的に実行しカイゼンするためのシステム化をする。システム化が必要な理由は、潜在顧客からなるネットワークの構築には多大な時間がかかるので獲得作業を継続できるようにすることと、その進捗状況に一喜一憂しないで済むように心理的負担を取り除くためである。
  • システムとしては、Fordのレインメーカー・システムが参考になる。ターゲティング、リード・ジェネレーション、セールス、契約実行のごく常識的な4部分からなるもので、この中の特にリード・ジェネレーションを地道に愚直にやることが、成功につながる。
  • 駆け出しのフェッショナル・アドバイザーが決まってする質問に、「どうしたら顧問契約が取れるか?」と言うものがあるが、顧問契約はシステムの「契約実行」の部分を成功裏に完了してクライアントの信頼を獲得していく結果として得られる。そして、この信頼獲得はクライアントの目から見て、特定分野の専門家、周辺分野もカバーできる専門家、価値あるリソース、信頼されるアドバイザーの4段階(最後が顧問にふさわしい段階)を経て達成される。そして、この4段階成長を加速するメソッドも知られている。
  • 何もない状態からこのレイン・メーカーシステムを構築するのは簡単なことではない。リーンスタートアップの思想に則って顧客中心で必要なものから順に仮説検証スタイルで構築すべきである。具体的には、スティーブン・ブランクが唱える、顧客発見、顧客実証、ピボットを高速に回し学習を積み重ねると王方式をとるべきである。
  • 以上をまとめたものが次の図である。