独立コンサルタントはまず認知度向上:言い訳を断つ6段階コンテンツ・マーケティング


最新更新日

一向に案件が増えないのは、言い訳をするから

コンサルタントとして独立して2−3年経ち毎日忙しく動き回っているのに、顔色が冴えないコンサルタントが多いですよね?

話を聞いてみると、「忙しいことは忙しいんですけど、売り上げにつながる案件は少ないんですよね。単価も安いですし」といった類の答えが返ってきます。

どうしてこうなるのでしょうか?この人たちは何を変える必要があるのでしょうか?

そのためにまずすべきことは、「クライアントは、最初は見知らぬ人であったコンサルタントをどうして尊敬するようになるのか?」と問うことです。

そして、常識を働かせれば、その答えは「次のような段階を踏むことによってである」であることがわかるはずです。

  • その人を知らない
  • その人の経歴を知っている
  • どういうコンサルティングをするのか(どういう結果を出すのか)がわかる
  • 主張している結果が出せそうだと思える
  • コンサルタントの出す結果が自分事である
  • 確かに自分の役に立つ
  • 自分の考え違いを指摘してくれて尊敬できる

こう考えれば、上の段階に進むためにやるべきことが見えてきます。経験者が異口同音に勧めるのは以下の自己発信ステップです。

  1. 高単価を目指し自己発信することを決める
  2. 特化する
  3. 方法論を見える化する
  4. ターゲット・クライアント(だけ)に向けたメッセージを発信する
  5. ターゲット・クライアントの問題から商品を設計する
  6. インサイトを提示する

このステップは(最後のインサイトの提示を除けば)一見当たり前のことを言っているようですが、それが簡単であれば、案件獲得に困るコンサルタントはそう多くはないはずです。

なぜ簡単でないか、視点を変えて考えてみましょう。

コンサルタントなら、クライアントが問題解決ができずに支援を求めてくるケースの多くが、一見当たり前に見えることができない場合であることを経験しているはずです。

さらに、当たり前に見える問題の解決ができない原因が、クライアントの問題の捉え方、考え方にあることも知っていますよね?

それと全く同じことがコンサルタントのキャリア設計にも当てはまることに気づくべきなのです。

独立したコンサルタント自身の思い込みが、様々な言い訳のもととなり、コンサルタントの自己発信を難しくしているのです。以下、このことの詳細を説明し、そこから脱却する方法を検討していきます。

高単価を目指し自己発信することを決める(誰も無償で仕事はくれない)

これこそ簡単すぎて、こんなアドバイスに価値があるのかと思われることでしょう。

しかし、現実はどうでしょうか?独立したコンサルタントの何%が、自分のコンサルティングの説明パッケージを持ち歩き発信しているでしょうか?

「案件が少ないのに忙しい」人たちに共通して見られるのが、単価の低い下請け仕事に甘んじていることです。下請けであれば、仲介者が仕事をこなせるかどうかを判断してくれるので、自分を説明する必要はありません。

しかし、下請けから脱出しようとすれば、自分で集客せざるをえず、そのための自分の説明パッケージが必要になります。

つまり、自己発信は自己集客と表裏一体であるために難しいのです。自己集客の覚悟がない人は自己発信を持続できません。

では、なぜ自己集客を決意できないのでしょうか?

それは、「誰かが仕事をくれる」という幻想から抜けられないからです。勤め人の時の分業体制の前提をそのまま引きずっているからです。

企業の一員であれば、分業を前提として自分の役割をこなしていれば、それでOKです。自分がすべきことは、その役割をこなす能力があることの証明だけです。後は「待って」いれば、組織が仕事を与えてくれます。

その結果、無意識に「能力があれば、いずれ認知される」と思い込むようになります。

しかし、独立した世界ではこの取り決め成立しません。自分から何ができるかを訴求しないと、誰も認知してくれず、何も始まりません。

パーソナルブランディング  という本が述べるように、「認知度が能力より重要」なのです。

したがって、最初に決めるべきことは、自己集客するか下請けに徹するかです。

下請けに徹するのであれば、自己発信は必要ありません。企業内にいる時と同じように、仲介者に自分の能力を証明するだけで良いのです。

その代わり、仲介者がピンハネしますから、高単価は期待できません。また、案件数も自分ではコントロールできません。

さらに、仲介者の機嫌を損ねたくないので、たとえ他の仕事があっても無理して依頼案件を引き受けます。「貧乏暇なしで忙しい」のです。

自己集客を決心するのであれば、高単価を獲得するためには以下に述べる一連のステップをたどるしかありません。

最初に、「誰の」仕事をするか、それとも「何の」仕事をするのか、腹を決める必要があるのです。

(この件につては 下請けから脱却するための「選択と集中」 も参照ください。)

特化する(絞っても仕事は減らない、むしろ増える)

自己集客すると腹を決めた後、次にすべきことは「何をするか」です。

ここで陥る典型的な愚策が「守備範囲を広くする」です。そうすれば仕事が増え安心だと思うからです。

たとえば、コンサルティング会社のホームページに、次のように書かれているものをよく見かけます。(・・・の部分には様々なコンサルティング・メニューが並んでいます。)

  • “XX業などを中心に、総合的な経営コンサルティングサービスを提供しています。サービス内容は、経営戦略立案コンサルティング、・・・などの幅広い経営コンサルティングサービスを提供します。”

問題は、これで何をする会社かどうかわかるかどうかです。

自分がクライアントの立場になったとして考えてみましょう。社員がほとんどいない会社がこのような幅広いメニューを掲げていたとして、自分のコンサルティングを頼みたいと思うでしょうか?

自分が困っている問題に関する深い専門知識を持つコンサルタントであることがわからなければ、依頼しようとは思わないでしょう。

世の多くのマーケティングやブランディングの本には「自分のビジネス領域を絞り専門化せよ」と書かれています。上述の パーソナルブランディング では「特化かそれとも衰退か」という章まで設けて、このことを論じています。

しかし、そういった理論に基づいてコンタルティングをしているはずの当のコンサルタントが、自分のことになると「絞ると仕事が減る」と抵抗するのです。

その背後にある思い込みの一つが、「ゼネラリストの方が格上だ」ではないでしょうか?企業では、一生専門家で終わる人よりも、最終的にゼネラリストに転じた人の方がはるかに出世し生涯所得も多いからでしょう。

しかし、ゼネラリストが育つには時間がかかります。企業内であれば、人事が考えたローテーションに沿って色々な職種を経験し、時間をかけて成長していきます。

コンサルティングの世界ではクライアントの問題をなんでもこなすクライアント・パートナーがゼネラリストです。しかし、クライアントからクライアント・パートナーとして認められるのには、これまた長い時間がかかります。成功プロジェクトをいくつも積み重ねて、ようやく認められるのです。

この2つの例で時間がかけられるのは、ある程度の規模を持った企業の下では、従業員やコンサルタントの成長に投資を続けられるからです。

残念ながら、独立コンサルタントにはこの投資は無理でしょう。投資の前に手っ取り早く売り上げを確保しなければ飢え死にしてしまいます。

独立コンサルタントは、過去に投資済みの自分の経験をもとに、スペシャリストとしてクライアントに素早く認知される工夫をする必要があるのです。

「絞ると仕事が減る」のではなく「絞って目立たないと仕事が来ない」と考えるべきなのです。

(この辺の詳しい議論については、ブログ記事 スペシャリストかゼネラリストか — マーケットを見て選択する を参照ください。)

方法論を見える化する(経歴では仕事は来ない)

特化をすれば、クライアントにどういうコンサルティング結果を出す人なのかがわかるようになります。でも、それだけでクライアントはコンサルティングを依頼してきません。

クライアントの頭に浮かぶ次の質問は、「本当に主張している結果が出せるのだろうか?」です。

この質問に答えるには、自分のコンサルティング方法論をなんらかの形で可視化して、クライアントがその良し悪しを評価できるようにする必要があります。

しかし、自分の方法論を明示しているコンサルタントは、これまた少ないようです。

その大きな理由は、「手間がかかり面倒くさい。その割に効果が見えない」でしょう。その背景にある考えは、「これだけの経歴があるから仕事が来るはずだ」です。

でも、経歴って何でしょうか?「MMというプロジェクトを完成し大きな成果をあげた」と言っても、その意味が伝わるのはMMがどういうものであるかを知っている人に対してだけです。

この人たちは、長年企業で培った「自分を知っている人たち」のネットワークを無意識に当てにしているのです。

それとは反対に、コンサルティング・ファームは、大手でも必ず方法論の提示をやっています。形にしないと付き合いの浅いクライアントが信用しないことを知っているからです。

方法論を可視化することの利点は、コンサルタント側にもあります。

営業コンサルティングをやっている人の話です。

この人は元々営業出身なので、売ることは得意なはずだったのですが、自分のコンサルティングを売るのに四苦八苦していました。ところが、方法論を整備して客観化した途端、営業時代と同じように簡単に売れるようになったそうです。

その人が言ったのは、「これまで自分の経験を売らなくてはと思っていました。でも自分を売るのは非常に難しかったのです。方法論を商品として売るのなら以前と同じで、いっぺんに楽になりました」です。

相手をよく知らない人は、目に見え自分に理解できる言葉で語られているものでなければ決して信用しない、ということを肝に銘じる必要があるのです。

そういう観点から、「実績」を「方法論」に変換する必要があるのです。

ただし、方法論と言って大袈裟なものを考える必要はありません。方法論型コンサルティングが提供すべき3つの価値とその適用事例 で述べた次の3つの条件を満たし、クライアントがその価値を納得できるものあれば良いのです。

  • その方法論に従えば問題が解けそうだと思える
  • 途中で自分の意見を差し挟めるので最終結果に合意できる
  • コンサルタントのノウハウが反映されており、その方法論を利用しない場合より迅速で品質の高い結果が得られるそうだと思える

ターゲット・クライアント(だけ)に向けたメッセージを発信する(目線を下げると力量は伝わらない)

方法論が整備できたとしても、それだけでは売れません。誰に見せるかが大事です。

ある企業のサービス部門のトップ担当者および管理職として成功し、組織開発コンサルタントとして独立した人の話です。

その人は、長い間の経験で裏方社員(サービス担当者など)のモチベーションを上げれば業績が大きく変わること知っていました。でも、クライアントの社長には組織改革コンサルタントとして認められないのが悩みでした。社長が案件を現場任せにするので、現場改善しかできないのです。

その人のモチベーション・アップ方法は、他者に配慮しながら自己表現する方法などを含むコーチング理論に基づいた素晴らしいものです。この指導を受けた裏方社員は、自分の役割の中に閉じこもらず、主体的に行動するようになります。

でも、これらの方法を示されても、それだけでは社長は自分事だとは受け取りません。「この方法は役に立ちそうだ。あの現場を改善してほしい」となります。

ここで、社長にそう思わせてしまったのは自分の責任だと気づく目つきが必要です。

よく考えてみましょう。実は、本当にこの指導が成果を上げるのは、社員が指導の結果を使いこなす場があると信じた場合なのです。

それが信じられるためには、従来の役割中心(サービスは補助職、与えられた役割をこなしさえすれば良い、など)の組織から、お互いが協働するチーム型の組織に変革する必要があります。

これで分かるのは、社長が市場環境の変化を痛感し、組織形態を変える必要に気づいているのでなければ、このコンサルティングは無意味だということです。

やるべきことは、社長自身の考え方の変革を迫ることです。そうすれば、組織開発コンサルタントとして認められます。たとえ社長と話していても、担当者の変革についてのみ話したのなら、現場改善を依頼されてしまうのです。

自分のターゲット・クライアントは誰なのかを明確にし、その人に刺さるメッセージを発信すべきです。

自分の過去の経験からプロダクト・アウトでコンサルティング・サービスを設計すると、担当者レベルに目線が下がってしまうので要注意です。

視点を変え、社長の悩みからマーケット・インでサービスを設計すべきなのです。

ターゲット・クライアントの問題から「商品」を設計する(得意技だけでは問題は解けない)

別のコンサルタントの話です。

その人は、受託製品開発の経験をもとに独立しました。それまでの経験を生かして、中小企業が売る商品を仕入れ商品から自社ブランドに切り替える際の設計開発を支援しようとしています。

経営者に向けたメッセージとしては、「自社の他のサービスと連動したお客様が安心して使い続けられる商品を設計すべきである」を伝えることを考えました。

ここまでは順調です。

さらに、コンサルティングの内容の設計に当たって、友人にアドバイスを求めました。

友人は、商品の設計開発サービスに対し、クライアントは以下のようなことを求めるだろうと答えました。

  1. 消費者がその商品に求めているもの(安心、飽きがこない、価格等)が何かがわかる
  2. どのような消費者がその商品を求めているかがわかる
  3. その消費者セグメントへの働きかけ方(プロモーション方法)、届け方(チャネル)がわかる
  4. 消費者が求めるものを自社商品に反映する方法(商品企画)がわかる
  5. 企画した商品を製造方法(原材料調達、加工、パッケージング、輸送、保管)に展開できる
  6. 協力工場・サプライヤーの選び方がわかる
  7. 協力工場・サプライヤーの監督方法がわかる
  8. 以上の結果、その商品を商品化できる

ここで問題が生じました。その人の得意なのは5〜7で、1〜4については経験が無いので躊躇したのです。

このことは、よく理解できます。

エンジニアは、自分の専門範囲内であれば、課題が少々難しくてもそれを成し遂げるのが商売です。そのことに自分の職業的プライドをかけ、自分の専門技量を磨き続けます。その代わり、専門外のことについては発言を控えるのを旨としているからです。

しかし、ここで問題とすべきは、5〜7だけでコンサルティングが売れるかということです。

設計エンジニアが自分の専門分野だけに集中して成果を出せるのは、誰かが設計すべき商品の企画を与えてくれる時です。

対象とするクライアントは中小企業です。今まで商品を仕入れてきたその人たちに商品企画ができるかどうか、あるいは他にそれを代行できる人がいるかどうかを検討すべきなのです。

結論が何になるかは状況によります。ただ、自分が1〜4をできるかどうかではなく、クライアントが1〜4のサービスまで求めるかどうかを検討すべきなのです。

自分ができる範囲のものを提供し、それを使ってクライアントに残る問題の解決をしてもらおうとするのは、いわゆる「製品」の提供です。

そうではく、クライアントの問題そのものを解決する「商品」を提供すべきなのです。

そうであって初めて、問題解決業であるコンサルタントを名乗れるのです。

インサイトを提示し尊敬される(相手の悩みを理解するだけでは当たり前)

自己発信の最終段階は、発信によりクライアントの尊敬を獲得することです。一旦尊敬されれば、そのあとのセリングやサービス提供は非常にスムーズに進むからです。

クライアントに尊敬されるためには、クライアントがそれまで思いついていなかった考え方(インサイト)を提示する必要があります。クラアインとがそれまでの考え方を改め新しい考え方を採用すれば問題が解けると信じた時、尊敬を獲得できるのです。

この方法については、ンサルタント営業はなぜ「お客様要望の理解」から始めてはいけないのか”で詳しく説明しましたので、そちらを参照ください。

まとめ

  • 独立コンサルタントとして何年も経つのに、一向に取り扱い案件の数が増えず、下請けに甘んじているコンサルタントが多い。その原因は、クライアント側の認知段階を理解してそれに合わせた自己発信をする、ということをしていないからである
  • ただし、自己発信ができない背景にはクライアントから認知を獲得する方法に対する間違った思い込みがあるので、それも合わせて改革する必要がある
  • 最初の段階は、とにかくクライアントに知ってもらうために自己発信をすることを決心することである。「能力があればいずれ認知される」という間違った思い込みから脱却するためには、自分から集客をするという決心もすべきである。それをしない限り、自己発信は継続できない
  • 次の段階は、特化することである。「絞ると仕事が減る」と抵抗すのではなく、「絞って目立たなければ仕事が来ない」と発想を変え、スペシャリストに徹するべきである
  • クライアントは、特化した分野で成果を出せるかどうかを確認してくる。関係の深い相手以外には通用しない「実績」を証明として持ち出すのではなく、付き合いの浅い相手でも評価できる「方法論」に翻訳すべきである
  • 方法論が誰の問題を解決するかを意識し、その相手(だけ)に向けて発信すべきである。経営者相手のコンサルタントを目指すのなら、経営者に発想の転換を迫るメッセージを発信すべきである。それができないのなら、現場改善コンサルタントに徹するべきである
  • コンサルタントはクライアントの問題を解決する商売である。クライアントの問題の一部を切り取って解決し、残された問題でクライアントを途方に暮れさせるような売り方はすべきでない。クライアントに使い方を任せる「製品」ではなく、問題を解決する「商品」を発信すべきである
  • クライアント認知の最高段階は、クライアントに尊敬されることである。尊敬されるためには、クライアントの気づいていないものの考え方(インサイト)提示し、その考えのもとでなら問題が解決できることを示すべきである。インサイトは、過去に成功した問題解決の本質を追求し続けることから生まれてくる

自己発信段階