コンサルタントが専門分野外のビジネス知識を素早く身につける法


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ブログ・テーマ「コンサルタントが知っておくべきビジネス改革フレームワーク」について、なぜこのようなものを書くのかのご説明です。

このブログは、コンサルタントの実践的問題解決能力の向上を目指して書いています。

コンサルティング論」では40回近くにわたって、問題解決法そのものに焦点を当てて、そのスキル向上方法を解説しました。

その主たる視点は、教科書に書いてある「問題をどう解くのか?」を理解しただけでは解けない、現場の問題をどう扱うかにあります。そして、そのような問題を扱うためには、「問題はなぜ解けないままか?」と問い、問題の背景にまで遡る必要があることを説明してきました。

このテーマで当初予定していたことをだいたい書き尽くしましたので、(時々忘れていたことを思い出して戻ってくるかもしれませんが(笑))、ここからは後回しにしていたテーマについて、その意図をご説明します。

専門分野以外のビジネス知識をどう補うか

B2Bコンサルタントが一人前に仕事をこなせるようになるためには、問題解決能力に加えて対象分野のビジネス知識を備えていることが必要ですよね?金融業、流通業、製造業、等ごとに仕事のやり方が違うので、クライアントの問題を理解するためには、自分が対象とする業界の業務知識をある程度仕入れておく必要があります。

しかし、実際はひとつの業界に精通するだけでも大変な作業です。ですから、多くのコンサルタントは、営業、設計、製造などの個別分野に特化します。

この特化には、メリットとデメリットがあります。メリットは、専門能力を高められ、品質の高い成果を提供できることです。デメリットは、もちろんその分野以外の仕事が来た時の対応方法に苦慮せざると得ないことです。

分野を超えた仕事で一番困るのは、ビジネス知識の不足です。それが足らないので、最初のステップであるクライアントの現状の把握をどうすればよいかがわからないからです。

この時に、それを助けてくれる方法があったらどうでしょうか?

不得意な領域のコンサルティングを頼まれた時に助けとなる改革要件フレームワーク

たとえば、製造業の生産現場出身のコンサルタントが営業改革の相談を受けて当惑していたとしましょう。

この時、そばにいた先輩が、最近の営業改革の中心テーマは属人営業から組織営業への転換かコンプレックス・セール(顧客企業内に意思決定者が複数いる場合の営業方法)だと教えてくれたら、どうでしょうか?そのようなキーワードが出ている本を調べて、必要な知識を仕入れることができますよね?

もっと遡って、先輩はなぜアドバイスできたのでしょうか?それは、営業改革での取り組み課題を列挙するフレームワークを持っていたからです。

だとすれば、そのフレームワークを知っていれば、自分で対処できることになります。

変革点を的確に表現しクライアントとの議論を円滑にするボキャブラリー:「変革点」

別の経営管理コンサルタントが、多くの中小企業に共通する問題を指摘していました。

予算は立てたものの、その後特に何もせず、決算の段階になって初めて慌てるというのです。そこから脱却するためには、起こりうる問題を予測して前倒しで手を打つ必要があるのですが、これができないのです

このコンサルタントの悩みは、このことを説いて聞かせても、中小企業の経営者がなかなか理解してくれないことでした。

それを聞いていた別の先輩コンサルタントが、「説明の仕方を工夫すべきだ」と言いました。「結果をただ待っているのではダメだ」、「予実管理をきちんとしろ」と言われただけで分かるくらいなら、とっくに自分で変えているはずだというのです。

問題解決とは、現状の何かを変え、あるべき姿に近づけることです。そのためには、現状の「何か(A)」を別の「何か(B)」に変えなければならないはずです。

「結果をただ待っているのではダメだ」、「予実管理をきちんとしろ」は、いずれもA、Bの片方しか言っておらず、しかもAの方を否定的なニュアンス(ダメだ)で表現しています。これでは、クライアントは理解も行動もできないのです。

AとBの対の適語表現が必要なのです。

このケースは、「“成り行き経営”を“見込み管理”に変えろ」と言うべきなのです。その上で、“成り行き経営”というのはどういうもので、“見込み管理”で何をすればよいかを説明すればよいのです。

このような対を、先輩は「変革点」と呼んでいます。

この例を見ればわかるように、変革点の内容そのものは常識的なもので、広く応用できるものです。ただ、それを的確に表現することが難しく、そのためにクライアントとの意思の疎通が阻まれるのです。

これを解決するためには、先人の知恵に学ぶことです。先輩たちの経験を凝縮した変革点を語るボキャブラリーを仕入れておけば、クライアントとの議論を円滑に促進できるのです。

多くの企業で共通して起こる応用範囲の広い問題の知識

それ以外に知っておくと良い知識もあります。

たとえば、多くの企業で商品開発を野放しにしておくと、その市場投入率は7分の1となることが知られています。すなわち、企画段階で7つあった商品開発プロジェクトのうち、市場投入までたどり着くのはたったひとつだということです。(しかも、これは市場で成功することは意味していません。)

そのひとつ以外のプロジェクトに投じられた開発エネルギーは、無駄となっているのです。

このことを知っていれば、商品開発の早い段階で、本当に市場に投入するに値する企画かどうかを真剣に検討すべきだということがわかりますよね?それを受けて、段階を設けてレビューをするステージ・ゲート法のような手法が開発されています。

実は、このようなエネルギーの無駄遣いは、ビジネスの現場では幅広く起こっています。優先順位をつけ損なって成約しない営業案件を追いかける、などがその例です。

このような知識があれば、幅広い分野での問題分析が可能になるのです。

まとめ

  • 一般には、コンサルタントが不案内な分野でも仕事ができるようにするために必要なことは、対象分野のビジネス知識(「業務」の知識)を獲得することだと思われている
  • しかし、それ以上に必要なことは、対象分野の「問題」を語る言葉を身につけること。業務知識は、取り組むべき問題を理解した後で身につけるのでも間に合う
  • 補うべきは対象分野の「問題」を語る次の言葉
    • 対象案件(営業改革など)での改革テーマを示すフレームワーク
    • 変革点(解決の方向性)を語るボキャブラリー
    • どの企業でも共通して起こる問題の知識
  • 本テーマでは、これらの問題を語る言葉の身につけ方についてお話ししている。乞うご期待