“書いてなんぼ” ではなく、”変えてなんぼ”
最新更新日
チームを組んでコンサルティングをしていた頃、若手に良く言っていたセリフがあります。
「コンサルタントは ”変えてなんぼ” だ。”書いてなんぼ” じゃない。」
コンサルタントの報告書が役に立たないと言われるのは何故か?
コンサルタントに対する悪口で多いのが、「コンサルタントが立派な報告書を残していったが、糞の役にも立たない」というのがあります。これは、”書いてなんぼ” の範疇に入ります。
報告書を書いて去ること自体には、とくに悪いことはありません。お客様の予算の都合等で、解決策を考えるところまでがコンサルタントの責任、その解決策を実行するのはお客様の役割、と合意されていれば何の問題もないはずです。
にも拘らず、このような悪口が広く聞かれるのはどうしてでしょうか?
この疑問に答えるには、報告書が役に立たない理由を検討する必要があります。
報告書が役に立たない理由は、概ね次のいずれかだと考えられます。
- 報告書に書かれている解決策を実行しても、元の問題が解決しない
- お客様自身では解決策を実行できない
1は、問題の捉え方が間違っているケースで、いずれ「問題とは何か」というテーマで議論します。ということで、今日の対象は2のケースです。
当たり前のことができないからこそコンサルタントを呼んでいると心得るべき
私が経験した成功プロジェクト(けっこうありますょ、エヘン(笑))では、プロジェクト終了後に、お客様が共通して次のように言われます。
「福永さん、よくわかりましたよ。当たり前のことを当たり前のようにやればよいんですよねぇ。」
お客様自身が「当たり前」と言われるのですから、解決策そのものはそれほど難しいものではないはずです。にも拘らずそれが実行できないのは何故でしょうか?たとえば、次のような理由があります。
- 永年の慣習、組織の壁を壊せない
- 変革に向けてのPDCAが回らない
- 等等
となると、コンサルタントがお客様に寄り添い、外部の気安さで時には憎まれ役を買って出て慣習や壁を壊す、PDCAの実行をお客様にせっつく、等のことが必要となります。壁を壊すのは一過性ですが、PDCAの方は、良いアイデアを出して成功体験を積んで頂くことを根気よく繰り返す必要があります。
単に新しいプロセスやITの仕組を作るだけではダメで、お客様の心理にまで立ち入って変革を促し、それを「当たり前」にするところまで持っていく。その覚悟がコンサルタント側にも必要な訳です。それが ”変えてなんぼ” の意味するところです。